2012年11月20日火曜日

小沢氏の無罪確定 「やれることやった」 困難な立証、浮かぶ制度の不備

 「3人でやれることはやった上での結論」。強制起訴から1年9カ月余り。小沢一郎代表の裁判が終結した。会見した検察官役の指定弁護士は、上告断念の結論に「主張が認められず残念」とする一方、「ほっとした」と重責を終えた安堵(あんど)の表情をのぞかせた。


 指定弁護士3人は午前11時から、検察庁に集まって上告の可否を協議。3人一致の結論で上告断念を決め、上訴権放棄の申立書を東京高裁に提出した。

 刑事訴訟法で上告理由として認められているのは憲法違反、判例違反などでハードルは極めて高かった。

 著しく正義に反する重大な事実誤認がある場合などに判決が破棄されることもあるが、会見で大室俊三弁護士は「検察官の立場からすると、事実誤認のみを理由にした上告は慎むべきだと考えた」と説明。その上で「被告人が大物政治家であるか、名もなき市民であるかで、法の適用を変えることは妥当ではない」として政治的配慮を否定した。

 小沢氏の公判では、指定弁護士の立証の難しさも浮き彫りになった。大室弁護士は、検察から引き継いだ証拠について「これだけ大きく取り扱われている事件の割には少ないなと思った」と指摘。「公判前整理手続きなどに追われて、積極的な証拠収集に費やす時間がなかった」と振り返った。

 検察審査会法には控訴や上告などに関する詳しい規定がないことも、指定弁護士らを戸惑わせた。山本健一弁護士(48)は「事務的手順で決まっていないことが多く、手探りで決めざるを得なかった。これからも続く制度であり、こういう細かい規定も決めてほしい」と注文をつけた。

 無罪確定の感想を問われると、大室弁護士は「終わった、ほっとしたというのと、主張が認められず残念という思い」。山本弁護士は「有罪立証に努めてきた者としては残念だが、甘んじて受け入れざるをえない」としつつも「確定まできてほっとしている」と複雑な心境を明かした。

参照:産経新聞

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