2014年9月29日月曜日

弁護士は食えない? 元司法修習生が損害賠償請求

 元司法修習生が国を相手取り、損害賠償を求める裁判を起こした。新司法試験を合格した人は弁護士、検察官、裁判官になるために1年間司法修習を受ける。2011年までは司法修習の期間、国から毎月20万円が支給されていた。しかし11年以降は、制度の廃止により無給状態で1年間の司法修習を過ごす必要が生まれたのだ。元司法修習生たち110人は、国に1人あたり1万円の損害賠償を求めている。

  新司法試験を受験するためには法科大学院を卒業することが必要である。しかし、法科大学院卒業までには多額の費用が必要となり、多くの学生が奨学金などを借りて通学。卒業までに多くの、返済しなければいけない負債を抱えることになる。現に日本弁護士連合会(日弁連)が13年度の司法修習生を対象に実施した調査結果によると、70%の司法修習生が経済的な不安を抱えたまま修習に取り組んでいるという。

 一方で弁護士は稼げる職業のイメージが強くあったが、今その神話は崩れている。国税庁の12年の統計によれば、所得が1,000万円以上だった弁護士は5年前から15%減少。しかし逆に200万~600万円の人が20%ほど増加している。原因は弁護士数の急激な増加だ。

 日弁連によると、00年の会員数は17,130人だったが、13年には33,682人となり、約2倍に増加。その結果、新司法試験合格後も事務所に入れなかったり、仕事がなかったりする弁護士が増えている。従来は司法試験合格後、「イソ弁」と呼ばれる居候弁護士になる人が多くいた。試験合格後、経験も人脈もない新人が個人で事務所を構える弁護士のもとに居候し、5年ほどの時間をかけて経験を積んで独立していく。

 しかし弁護士数の増加で、近年は「ノキ弁」や「即独」という形態が増えているという。「ノキ弁」とは個人事務所の軒下だけを借りて開業する形態で、「イソ弁」とは違って給与はなく、顧客も自分で開拓する必要がある。「即独」に至っては、司法試験合格後いきなり独立開業をし、経験や人脈がないまま弁護士としての仕事を始める。こうした現象により、弁護士の質の低下を懸念する声も上がっている。

 14日発表された14年の司法試験合格率は過去最低の22.6%となった。合格者数も13年より239人減少し1,810人となり、ついに2,000人台を割り込んだ。しかし法科大学院を経由しない予備試験の合格者は全法科大学院の合格者中一番多い合格者数となった。こうした傾向を反映し、法科大学院の志願者数の志願者や法学部の学生数も減少中だ。金銭的な不安や負担が多いことから、それをカバーできる環境の人しか法曹界に入れないという声も上がっている。公平な判断を下す司法の場で、不公平がまかり通ろうとしている。

参照:Economic News

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