クリスマスが間近に迫り、街も色とりどりのイルミネーションで装飾されにぎわいを見せている。最近では自宅に電飾イルミネーションをほどこして楽しんでいる人も多く、通行人が思わず足を止めるほど凝った装飾も見受けられるようになった。
しかし、本人や見物人が楽しいからといって、近隣住民から好評であるとは限らない。人工光をめぐる悪影響は光害(ひかりがい)と呼ばれており、時にはトラブルの元になることも。
ということで、自宅をイルミネーションで飾る場合どのようなことに気をつければよいのか、レオーネ北浜法律事務所の伊藤隆啓弁護士にお話をうかがった。
まず、自宅イルミネーションは法的に問題ないのでしょうか?
「環境省の『光害対策ガイドライン(平成18年改訂)』によると、光害とは“良好な光環境の形成が、人工光の不適切あるいは配慮に欠けた使用や運用、漏れ光によって阻害されている状況、またはそれによる悪影響”と定義されています。もっとも、私が調べる限り、自宅イルミネーションをめぐるトラブルが裁判にまで発展した事例は見当たりません。これは、近隣住宅のイルミネーションの光が住居の屋内に入ってきてしまう場合、カーテンやついたてなどにより自分自身で対処できることが多く、裁判をしないと問題が解決できない状況が起こりにくいからだと思われます」
かなり眩しいくらいのイルミネーションでも問題ないのでしょうか?
「そうとは限りません。イルミネーションの光が近隣の居住者の安眠やプライバシーなどに悪い影響を及ぼし、その影響が一般の人から見て我慢の限界(受忍限度)を超える程度であれば、加害者に対して加害行為の差止めや損害賠償を請求することができると考えられます」
では、イルミネーションの明るさや消灯時間などに法律的な決まりはあるのでしょうか?
「明るさや消灯時間などについて特段の法規制はありません。明るさについては、環境省の『光害対策ライン』が参考基準として示すCIE(国際照明委員会)などの基準が参考になるのでしょうが、居住者や歩行者などの我慢の限度は個人差が大きく、また各個人でもそのときの心理的な状況に影響されるため、一様に基準を設定することは難しいでしょう。消灯時間については、、夕食を終えて就寝の準備を始める家庭が多い午後9時以降は、住宅地でのイルミネーションは消すべきではないでしょうか」
公益性が優先される公共施設のライトアップやイルミネーションと違い、周辺住民の生活への配慮が欠かせない自宅イルミネーション。間違っても光害だなんて言われないよう、近隣住民も一緒に楽しめる節度のある飾り付けを心がけたい。
参照:SUUMOジャーナル
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