2014年12月18日木曜日

<アウトリーチ>「トラブル大丈夫?」弁護士が巡回相談

 福岡県弁護士会と法テラス福岡が共同で「アウトリーチ」と呼ばれる活動を始めた。弁護士が従来のように相談を「待つ」のではなく、相談者のところに自ら出向く取り組み。表面化しにくい生活保護受給者や高齢者のトラブル解決が主な目的だ。

  「息子が殴られ、けがをした。加害者に治療費を求めたい」。12月初旬、福岡市内の福祉事務所の相談室で、男性が生活保護を受給中の40代息子に関する相談をしていた。応じた弁護士は刑事告訴や賠償請求訴訟などの対処法を助言した。男性の息子を担当するケースワーカーが同席し、加害者に面会した後で対応を検討することが決まった。

 県弁護士会と法テラスは11月から福岡市内の福祉事務所4カ所で月5回の巡回相談を始めた。生活保護受給者や家族に担当ケースワーカーがいる最寄りの福祉事務所に来てもらい、多重債務や相続、離婚トラブルなどさまざまな相談を受けている。法テラスが2012年4月から始めた取り組みに、弁護士会からも弁護士を派遣する形だ。8月から福岡刑務所(宇美町)の受刑者の相談にも応じている。

 弁護士会によると、アウトリーチはサービスを受ける側に足を運んで支援するという意味で、福祉分野で広まった言葉。これまで弁護士は自分の事務所や法律相談センターに寄せられる相談に対応することが多かった。しかし、生活保護受給者や高齢者の法的トラブルが目立ちながら、弁護士に相談しないケースがあることから、アウトリーチに力を入れることにしたという。

 弁護士会と法テラスは近く高齢者や障害者と接する機会が多い地域包括支援センターへの巡回相談も始める予定だ。認知症の高齢者や知的障害者が悪徳業者に金をだまし取られたりして多重債務を抱えるケースなどは表面化しにくい。対象者は資力に乏しいことも想定され、弁護士費用を立て替える民事法律扶助も活用する。

 福岡県弁護士会の三浦邦俊会長は「ニーズは大きいが、不慣れな弁護士が多いため経験を積む必要がある」と話しており、研修会でのスキルアップも目指す。

参照:毎日新聞

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