2015年6月16日火曜日

【法律相談所】自宅でのマッサージ営業。法的に問題はなし?

Question

 私の友人が最近自宅で耳つぼマッサージを始めました。耳つぼマッサージの資格をとったということは聞いていたのですが、つぼは、ちょっと押すところを間違えると怖いので、医療系の資格も必要なのでは?と思ってしまいました。自宅でアロマテラピーやジェルネイルなどを行うことは、そこまで体に害はないと思うのですが、つぼマッサージは体に害を及ぼすこともあるのではないかと思います。今はまだ知り合いなどを自宅に呼んで、マッサージをしてあげているだけのようですが、今後、例えばお金をとって自宅でマッサージを行うことになった場合、法的には問題ないのでしょうか。(30代・女性)

 Answer

 疲れた身体にはとても気持ちがいいマッサージ、お好きな方も多いと思います。ちまたには、ボディケア、リフレクソロジーなど、“マッサージ”という言葉を使わないお店も昨今増えてきていますよね。

 実は、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律で、「医師以外の者がマッサージを行うときは、3年以上の専門教育を受けた上で、国家資格である“あん摩マッサージ指圧師免許”を取得しなければいけない」とされており、無資格者による医療類似行為は禁止されています。

 ですので、例えば無資格で温泉や健康施設のサービスであっても、無資格者がマッサージをするのは違法なんですよ。

 医療類似行為とは、判例では医学的な観点から人の健康に害を及ぼす恐れのあるものとされています。全身マッサージなど以外でも、医学的に健康に害を及ぼす恐れがないとは言い切れないものは、医療類似行為にあたります。

 今回のケースでは、施術方法によりますが、耳つぼも医学的に健康に害を及ぼす恐れがないとは言い切れず、医療類似行為にあたる可能性があります。国家資格保有者ではないのでマッサージと謳うことはできませんし、特定の友人や家族相手ではなく、不特定多数を相手にするビジネスだと違法な可能性があります。アロマテラピーも同様ですね。

 全身マッサージ以外にも、足つぼ、ボディケア、トリートメントなどマッサージの名前をかたっていない店がたくさんあるのが実情です。しかし、術者の知識やレベルも様々なため、国民生活センターには、神経損傷、骨折や持病の症状悪化などの相談がたくさんあるようですし、無資格者による施術で後遺障害が残り損害賠償請求が認められたケースもあります。 他にも、レーザー脱毛、しみ取りやアートメイクは医療行為なので医師免許が、まつ毛エクステには美容師免許が必要で、無免許で施術して逮捕された人もいます。ジェルネイルは国家資格を取る必要はありませんが、紫外線ライトによる肌の老化、爪の変形・変色、アレルギーになった…など危険も潜んでいるので要注意ですね。

 厚労省や自治体も有資格者による施術を受けることを推奨しています。安価なマッサージやエステなども増え、女性には嬉しい時代になりましたが、お金には代えがたい健康や美を損ねてしまったら何の意味もありません。後悔先に立たずですから、信頼できる施設で資格者による施術を受け、健康と美を守ってくださいね。この人に聞きました弁護士(愛知県弁護士会所属) 正木裕美(まさき・ひろみ) 男女トラブルをはじめ、ストーカー被害や薬物問題、ネット犯罪などの刑事事件、労働トラブルなどを得意分野として多く扱う。身内の医療過誤から弁護士の道へと進む。2012年には衆議院選挙に愛知7区より日本未来の党の公認候補として出馬し、「衆院選候補者ナンバーワン美女」とインターネットや夕刊紙で大きな話題を呼んだ。2015年にアディーレ法律事務所へ入所。ブログ「弁護士正木裕美のまっさき通信」も更新中。

参照:日経ウーマンオンライン(日経ウーマン)

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