2012年11月21日水曜日

効果ゼロ、違約金を無心…悪徳SEO業者を告発する

「ブラック企業アナリスト」として、テレビ番組『さんまのホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)、「週刊SPA!」(扶桑社)などでもお馴染みの新田龍氏。計100社以上の人事/採用戦略に携わり、あらゆる企業の裏の裏まで知り尽くした新田氏が、ほかでは書けない、「あの企業の裏側」を暴く!
【前回記事はこちら】
『何もせずに高額料金をふんだくる!?  詐欺SEO業者の手口』
 http://biz-journal.jp/2012/11/post_997.html

 前回は、SEOコンサルティング企業に都合のいい契約形態のトリックを説明したが、今回は具体的な被害事例と加害企業を、セキララに告発していこう。

【事例1】
「SEO顧客数No.1」A社の場合

・SEO対策と称して、大量にスパムのミラーページを作成。
・検索サイトにスパムと判断され、トップページが表示されなくなる。
・同社に相談しても「様子を見ろ」と言われる。
・当該ページは使えないので、被害企業は自社で独自にページをリニューアル。
・A社が発見し、「再度対策するからカネを出せ。イヤなら違約金を払え」と言われる。
・カネを出して対策させるも変化なし。自社で再度リニューアル後、A社に解約を申し入れる。
・同社から「ウチが対策を施したページと、現在のページが変わってる。再度対策費用を払うか、前のページに戻すか、違約金を払え」と言われる。

【事例2】
「1,000社以上の実績、契約継続率90%、SEO技術を追求するWEBコンサルティング企業」V社の場合

・SEO対策と称して、ブログをつくらせてプラス評価記事を投稿するサービスを勧められる。
・ブログ開設するも、まったく効果なし。
・被害企業が任意抽出して調べたところ、まったくリンクが機能しておらず、SEO対策も何らなされていないことが判明。
・効果がないので解約を申し入れると「様子を見ろ」と言われる。
・V社から「1カ月間無料、残り2カ月は半額で」という条件を提示してきたので、被害企業はその条件を受け入れ。
・結局効果が上がらず解約。契約した代金支払い用の銀行口座も凍結させた。
・V社が、契約した口座とは別の口座から、勝手に3カ月分のコンサルティング料を引き落としていた。
・当該行為について裁判で争ったが、裁判になった途端、V社は被害企業のホームページを閉鎖するなど強硬手段に出る。
・結局、裁判では被害企業が被害を立証できず、全面敗訴に。

【事例3】
「共存共栄のインターネットコンサルティング」F社の場合

・「当社サービスに契約することで、月に10件程度の問い合わせが来るようになる」と言われ、60カ月の「サイト構築&保守契約」を結ぶ。
・新サイトを構築したが、問い合わせ件数に変化なし。
・「サイト構築はすべてF社で行い、御社(被害企業)が手を下すのは原稿チェック程度」と説明される。
・しかし、F社の営業担当者は顧客業務を理解しておらず、サイトに掲載する原稿も結局被害企業が大幅な修正を施すか、ゼロから書き上げねばならなかった。
・サービスの対象である「新サイト」が完成したのは、契約から1年以上後になってから。
・にも関わらず、コンサルティング料の引き落としはサイトが完成する半年前から始まっていた。
・コンサルティングサービス提供期間は60カ月と契約書に定めているが、期間中にも関わらず、サイトの修正依頼を拒絶。
・問い合わせても、「現在諸事情により、修正対応ができかねる状況」との一点張り。
・弁護士事務所を介して修正対応を依頼したところ、同社は「保守契約の利用料金が支払われていないため、修正依頼に対応しない」旨の回答をしてきた。
・しかし、業務委託契約を締結してから現在に至るまで、当該料金を請求されたことは一度もない。

 これらの事例は、「言ったことをやらない」とか「約束違反」などというレベルのハナシではなく、立派な詐欺行為であり、犯罪である。ここに社名(イニシャル)を晒して糾弾するとともに、皆さまには契約書の中身をじっくり確認頂くようご注意を促しておきたい。契約する際には、委託する業務内容をくれぐれも明確にしておくことが重要だ。なお、悪質なSEO業者の見分け方はGoogleのホームページ上でも詳しく説明されているので、ご参照されたい。

●コンサルティング料の支払いがリース契約?

 ダメ押しでもう一つ、SEOコンサルティング業者各社が確信犯的に行っているブラックな違法行為がある。それは、「コンサルティング料を『リース契約』によって顧客から徴収している」ということだ。

 SEOコンサルティングでは、「月あたり5万円の30カ月」といったかたちで、継続的な契約を結ぶことが一般的だ。その際、支払いを「クレジットローンやリース契約で」としている会社がある。今回取り上げた会社も、その方法で徴収している。

 しかし、サイト構築や保守、コンサルティングといったサービス(役務)提供は、法的にはリース契約の対象にはなっていないのだ。各社はその抜け道として、安価なソフトウェア等をリース物件に設定して、実質的には役務提供の対価としてリース料金を定めているわけだ。これは完全な違法行為であり、まさにブラック認定に値する。

 SEOコンサルティング会社側にとって、リース契約できることは実に都合がよいのだ。自社がどれだけ適当な仕事をしていようが、支払部分はクレジット会社やリース会社との契約になるので、「とりっぱぐれがなく」「契約期間中の解約ができない」。したがって、仮に被害企業がSEOコンサルティング会社を訴え、「コンサルティング料なんて払わない!」と宣言したとしても、コンサルティング契約とリース契約は別物だから、リース会社からは「契約を結んだんだから、カネは払え。裁判は関係ない」と言い切られてしまうのである。詐欺に遭いながらカネだけきっちり取られるなんて、まったく浮かばれない話ではないか。

 SEO業界には、誠意をもって素晴らしいサービスを提供している会社もある。一方で、一部のこのような会社が存在していることで、業界全体が胡散臭く、怪しげに見られてしまうのだ。悪質業者は恥を知れ!

参照:Business Journal