2015年9月4日金曜日

法科大学院の削減 法科大学院の現状と今後とは

 弁護士や検事など法曹を養成するための法科大学院の削減が止まらない。2015(平成27)年に入って熊本大学など既に6校が学生募集停止を表明しており(6月末現在)、14(同26)年以降の2年間で合計20校が学生募集停止に踏み切っている。ベネッセ教育情報サイトでは、法科大学院の現状について、教育ジャーナリストの斎藤剛史氏に解説してもらった。

       
 法科大学院は、ピーク時の2007(平成19)年度には、全国で国公私立合わせて74校も乱立しました。ところが、司法試験合格率の低迷で人気が低下し、学生募集停止を発表する大学院が出始め、特に14(同26)年1月から15(同27)年6月までに限って見ると、実に20校もの法科大学院が学生募集停止を表明した計算になります。これは文部科学省が2013(平成25)年11月に、課題の多い法科大学院に対する補助金大幅カットの方針を打ち出したためです。

 同会議は司法試験合格者を今後、年間1,500人程度にするという目標を示しました。政府は法科大学院創設当初、司法試験合格者を年間3,000人とする目標を立てましたが、日弁連など法曹関係者の反対で実現できず、そればかりか弁護士になっても弁護士事務所に就職できないなど最近の「弁護士余り」の状況を受けて、目標を当初の半分に引き下げたものです。

 一方、法科大学院修了者の司法試験累積合格率を「概ね7割以上」とすることも決めました。2014(平成26)年度の司法試験合格率は22.6%にすぎません。法科大学院修了者は修了後5年間まで司法試験を受験できますが、その累積合格率も49.2%(2014<平成26>年度)にとどまっています。文科省は、同会議の決定を受けて2018(平成30)年度までを法科大学院の「集中改革期間」と位置付け、司法試験合格率の低迷校などへの補助金カットなどの方策を押し進め、法科大学院の再編を加速させる考えです。しかし、このまま進めば法曹養成の役割が都市部の大学院や一部の有力大学院に偏る恐れがあると批判する声も大学関係者の間には根強くあります。
 
参照:ラーニングパーク

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