大塚家具の創業者で前会長の大塚勝久氏(72)が、長女の久美子社長(47)が大きな発言力を持つ一族の資産管理会社「ききょう企画」に社債の償還を求める裁判が13日、東京地裁で開かれ、勝久氏の本人尋問と久美子氏の証人尋問が行われた。2人が公の場で顔を合わせるのは、3月27日の株主総会以来。視線を一度も合わせる場面はなく、互いに相手の認識の違いを訴えるなど、親子の溝の深さが、改めて浮き彫りとなった。
「社長」と「大株主」として株主総会で壮絶な舌戦を行った勝久氏と久美子氏が、バトルの舞台を法廷に移し直接対決した。
08年に勝久氏がききょう企画に対し、大塚家具の株式130万株を譲渡。その際に勝久氏を引受人とする15億円の社債が発行されたが、期限の13年4月になっても償還されなかったため起こした裁判。ききょう企画側は、期限の延長が決まっていたため償還する必要はないと主張している。
最初に証言台に立ったのは久美子氏。普段は白のスーツ姿が多いが、この日は紺色と落ち着いた雰囲気。表情には若干、硬さが見られ、勝久氏のことを終始「原告」と呼んだ。
「譲渡の取引は、相続対策の一環として07~08年の家族会議で私から説明した。事業承継のためだった。親のためと思ったのに(訴訟になり)非常に残念」
償還の延長も合意できていたと主張。次女で、ききょう企画の代表を務める舞子氏が「自分が裁判に出ていることが全く理解できない。父のため、大塚家のためと思って両親を信じていたがどうして…」と号泣すると、傍聴席の最後方に座った久美子氏も、目を真っ赤にしてすすり泣いた。
その様子を神妙な表情で見ていた勝久氏は、最初はおとなしく尋問に答えていたが、徐々にヒートアップ。勝久氏が口を開くのは株主総会以来。たまったうっぷんを晴らすかのように質問を最後まで聞かず、自分の意見を一方的に話す態度に、裁判長は「あんまり言うと、(発言を)制限しないといけなくなりますよ」とあきれ顔。自らの弁護士からも「質問の答えだけ。我慢してください」と注意され、傍聴席からは苦笑いも起きた。
「社債を引き受けたのは、子供たちの生活費を援助するつもりだった。久美子からの提案だったので、信頼して言われた通りに了解したが、援助が必要なくなったら(15億円を)返してもらうつもりだった。償還期限の自動延長は、一度も言われたことがありません。今考えると、株ではなくて(援助のための)お金を渡す方がよかったと思う。久美子を信頼したら、こうなったんです…」
自らの判断が断絶をつくってしまったことを、悔やみきれないといった様子だった。父と娘の法廷での対決は、おそらく今回が最後。次回の公判は、9月14日の予定となっている。
参照:スポーツ報知
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