2020年東京五輪公式エンブレムを制作したデザイナー、佐野研二郎氏(43)のデザイン模倣疑惑が、思わぬところに飛び火した。都内にあるコンビニ店オーナーが、おでんの具材をPRするイラストを使いエンブレムのようなデザインでPOP広告を作成したところ、五輪組織委員会から「使用不可」と言われたことが21日までに分かった。
POP広告を作ったのは、東京都小金井市にあるコンビニ店「セブンイレブン武蔵小金井本町2丁目店」のオーナー・大坪正直さん(37)。店のイチ推し商品は、通年で販売している「おでん」。西東京約1000店舗の中で、売り上げが最も多いという。
オーナーになり3年目の大坪さんは、バレンタインデーに女性従業員にメイド服を着させて店頭販売を行ったこともある“アイデアマン”だ。
そんな大坪さんが「五輪エンブレム風おでん」を思いついたのは19日夜。9月1日から行う「おでんセール」のPOP広告を考えながら、パソコンで「おでんの具材」の写真素材を組み合わせていた。真ん中にちくわ、厚揚げを左上に、こんにゃくを右下に、そして、大根を右上に置くと五輪エンブレムのようなデザインになった。「これは面白い」と思った。
翌20日朝、念のため使用許可を求め組織委にメールを送ると、約1時間で返信がきた。「具の配置がエンブレムを容易に想起させるデザイン。商業利用した場合、エンブレムの価値が下がり、スポンサー企業に迷惑がかかる」などと使用不可であることを説明された。
組織委に拒否されたことをツイートすると、リツイートが相次ぎ、すぐに最大2・3万件に達した。インターネット上でも大きな話題となり、セブンイレブン本社から「問い合わせが殺到している」ととがめられ、大坪さんはツイートを削除した。POP広告はお蔵入りとなった。
知的財産権などに詳しい鮫島正洋弁護士(30)はPOP広告を見て、「これだけで五輪エンブレムを連想する人はいないのではないか。おでんの具そのもので色合いも形も違う」と、商標権侵害には当たらないとの見方を示した。組織委の店長に対する返答の中に「著作権、商標権に抵触する」などといった文言がなかったことから、「法的に訴えるのは難しいと考えたのではないか。だからスポンサー企業を引き合いに出して、ビジネスライクな理由にしたのでは」と指摘した。
ただ、大坪さんは、これぐらいでめげなかった。20日午後、おでんPOP広告「第2弾」として、佐野氏らが、デザイン模倣によって取り下げたサントリーのキャンペーン賞品のトートバック風の広告を作り、店内に貼った。だが、この日、本社の要請で取り外すことになった。「(組織委が)こんなに心が狭いと思わなかった。ほっこりするデザインだと思ったのに」と残念がっていた。
参照:スポーツ報知
0 件のコメント:
コメントを投稿