2013年4月30日火曜日

悪質商法の集団被害 「泣き寝入り」救済 訴訟代行制度、28年にも実現

 集団的な被害が出た契約上のトラブルについて、消費者団体が被害者に代わり賠償請求訴訟を起こせる「訴訟代行制度」の創設に向けた道筋が見えてきた。関連法案が4月、国会に提出され、成立すれば平成28年にも施行される見通し。同制度は昭和の時代から必要性が叫ばれており、悪質商法で泣き寝入りを強いられた被害者から対策の切り札として期待の声が上がる。

 兵庫県尼崎市の塾講師の女性(43)は「『駅前留学』の看板を見るたび、今も怒りがこみ上げる」という。英会話学校「NOVA」(19年10月に経営破綻、現在は別会社が運営)で授業600回分のポイントを約100万円で購入、レッスンを受講していたが、19年3月に打ち切った。その時点で500回分以上が残っていたが、示された返金額はわずか約5万円。「契約書の合意がある」との言い分だった。

 教室側と直接交渉に臨んだが、ハードな交渉のため自律神経失調症に陥った。その後結成された被害者弁護団が最高裁で勝訴した後に一定の返金を受けたが、女性は「個人で闘うのは精神的、金銭的に厳しかった」と振り返る。

 訴訟費用がネックになり、消費者が法的措置を見合わせるケースは少なくない。消費者被害に詳しい大高友一弁護士は「違法性の立証が難しい事件では、敗訴すれば被害者の負担が増す。これまでは一部被害者や弁護士が費用度外視で闘い、やっとのことで判例を確立してきた」と話す。

 新制度では国が認定した「特定適格消費者団体」が被害回復を代行する。訴訟は2段階に分かれ、はじめに消費者共通の被害について審理。勝訴した場合には同団体がインターネットなどを通じた公告で被害者を募り、裁判所が改めてそれぞれの賠償額を決める。

 一方、「訴訟が乱発される」などとする経済界の反発から、法案は対象トラブルを厳しく限定。当初議論された集団食中毒や個人情報の流出、粉飾決算による株価暴落などは除外された。具体的な公告方法などは、法施行までに細則で規定される。

【用語解説】訴訟代行制度

 直接の当事者でない代理人が訴訟を起こす制度。当事者は敗訴した場合にも訴訟費用の負担を免れる。現状では「適格消費者団体」(現在は全国に11団体)に、不当な契約条項の差し止めを企業側に求める訴訟を代行して起こす資格が与えられている。
 
参照:産経新聞

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