2013年4月19日金曜日

相続税トラブルが一般市民にも身近なものに? 知らないと損する税制改正のポイント

 1月、平成25年度税制改正大綱が閣議決定され、3月には税制改正関連法案が国会で可決・成立した。これにより、相続税、贈与税の改正は一部を除いてほとんどが平成27年からの適用となります。

 相続トラブルは資産家の話で、我が家には関係ないと思っている方も多いのではないでしょうか。かつては長男が親と同居しその資産を引き継ぐ「家督相続」が主な相続でしたが、近年は「均分相続」を主張する時代へと変化してきました。法定相続分がありますが、人の気持ちはそう簡単には割り切れる場合ばかりではありません。

 家庭裁判所の「遺産分割」紛争では資産5000万円以下が全体の40%強、なんと1000万円以下は約30%にも及んでいます。この数字からわかるように、実際には一般家庭の多くが「実家とわずかな金融資産」をめぐり、モメる事例が出ているのです。

 さて、税制改正が適用されると、実際どんなことが起こると予想されるのでしょうか? 一般市民にかかわる増税のポイントとしては、

(1)基礎控除の減額
(2)死亡保険金の「非課税枠」の縮小

 この2つがあります。

(1)基礎控除の減額

 相続をするからといって、みんなが相続税を払うということではありません。一定の額以内であれば、相続税は控除できる仕組みがあります。

 ・今までは5000万円+1000万円×法定相続人の数
 ・改正案は3000万円+600万円×法定相続人の数

ということになります。では具体的に例を挙げてみましょう。

 夫が亡くなって、妻と子ども2人が相続人になった場合どうなるのか?

 今までは、5000万円+1000万円×3名(法定相続人の数:妻、子ども2人)=8000万円まで控除が受けられました。

 しかし、改正後は3000万円+600万円×3名(法定相続人の数:妻、子ども2人)=4800万円までの控除しか受けることができなくなるのです。実に3200万円、40%も減額になってしまいます。

(2)死亡保険金の「非課税枠」の縮小

 生命保険金や死亡退職金などがある場合、死亡した瞬間に発生する財産のことを「みなし相続財産」と呼び、相続税の対象となります。

 今までは、500万円×法定相続人の数で求められる額を非課税として差し引くことが可能でしたが、税制の改正によって、非課税が認められる審査基準が厳しくなるのです。
改正案は500万×法定相続人の中で未成年・障害者・生計をひとつにする人の数となります。

 相続税対策に生命保険を活用している方も多いと思いますが、今回の改正で非課税枠の条件が厳しくなるため、生命保険を相続税対策にしていた人にとって影響は大きいでしょう。差し引ける非課税枠が減ってしまったり、引かれないというケースも出てしまいます。

 このように増税は、一部の金持ちだけではなく、一般市民も悩むことになってしまいます。

 そうは言っても、いくら親子といえども急にお金の話はしにくいものですが、いざというときの争いを避けるためにも家の資産として何がどれだけあるのか確認し、ある程度の話は家族間で少しずつ話し合いをしていくことにより、相続人の意思の疎通が生まれ円満相続に結び付くと思います。

 お金のプロであるファイナンシャルプランナー、税理士、司法書士などの専門家からアドバイスを受けたり、早いうちから、相続税対策について勉強し、対策を打っておくことが重要です。
 
参照:Business Journal

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