2013年4月4日木曜日

中途解約金を払わず、携帯電話の機種変更・キャリア変更はできるか

■これは携帯3社による談合ではないか

 2011年から急速に普及が進んでいるスマートフォン人気を受け、携帯電話の機種変更を行ったという人も多いだろう。そんな携帯業界でこのところ問題視されているのが、いわゆる契約の「2年縛り」だ。

 2年縛りとは、携帯電話の基本料金や通話料金を割り引く代わりに、2年間ごとの契約継続を求めるもの。NTTドコモをはじめ、au(KDDI)、ソフトバンクモバイル(SBM)など、大手キャリアはどこもよく似た2年縛りの契約を事実上の標準プランとし、各キャリアの新規加入者の8~9割が、こうした2年縛りのプランに加入しているという。

 しかし、こうしたお得プランの裏側には、キャリア側がユーザーを囲い込むために仕組んだ策略がある。契約期間中に解約や他キャリアへMNPで乗り換えをすると、各社横並びで設定された9975円の「解約金」を支払う必要があるのだ。解約金がかからないのは、契約から2年満了時のわずか1~2カ月間だけ。この期間がすぎると自動的に契約が2年間延長となってしまう。

 この契約の是非を巡って、12年3月に消費者団体の京都消費者契約ネットワーク(KCCN)がKDDIを相手取って起こした解約金の差し止めを求める訴訟について、京都地方裁判所は原告の訴えを認め、KDDIに解約金の一部返還を要求した。だが、同様の内容でドコモを相手取った訴訟では、反対にドコモ側の言い分が認められ、解約金の請求を有効とする判決が下った。

 原告であるKCCN事務局長の長野浩三弁護士は、「不当判決だ」と声高に主張する。

 「そもそもこの料金制度は、本質的にキャリアが主張するような『割引』ではなく、他社の料金に対抗するためにつくられた金額設定で、そこに顧客を囲い込むための『解約金』を加えただけのもの。つまり適正価格を割引と称しているだけなんです。それでいて大手3キャリアあわせて年間1兆円超という莫大な営業利益を挙げている。キャリア側は、契約期間中の解約による“損害”を補償するための解約金だと言っていますが、損害の実態が存在していないといえます」
 
 携帯ショップの店頭でも2年縛りプランを前提とした営業が行われているため、ユーザーにはほぼ選択肢がないのが実情だ。つまり事実上、携帯料金は大手3社による談合状態になっており、MNPの導入で本来期待されていた適正な競争が行われていない。

 「すでに携帯電話は社会生活に欠かせないインフラであり、電波という限られた資源を専有している携帯キャリアの不当な儲けすぎは批判されるべき。もう少し行政側がハンドリングして、通話料金や回線品質といったキャリア本来のまっとうなサービス競争に改めるべきです」

 あまりにも複雑でわかりづらい料金プラン、そして「携帯は高いもの」というユーザーの認識が、携帯キャリアの囲い込み戦略を助長しているといえるのかもしれない。残念ながら、現時点ではこの問題を個人レベルで争うことは難しい。仮に「解約金は不当だから払わない」と主張しても、「1人で裁判をしても100%負けるでしょう」(長野弁護士)と言うようにまず勝ち目はないだろう。

 ただし、今回のKDDIの判決を受けて、日本通信は「縛り」を撤廃、ウィルコムも2台目以降の解約金を無料にした。自由な契約を求めるならこれらのキャリアに加入するのも手だろう。いずれにしろ、携帯キャリアは現在の料金設定が本当に適正なのか、ユーザーの利益を考えられたものなのか、もう一度検討するべき時期にきているといえそうだ。
 
参照:プレジデント

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