埼玉弁護士会は今年5月、政府の法曹養成制度検討会議の中間取りまとめに対し、意見を提出。司法試験合格者数の当面の目安を年1千人程度とした。同会は意見の中で「この10年間に弁護士は1・5倍増加しているにもかかわらず、全裁判所の民事・行政事件の新受件数は大幅に減少している。具体的な検討もなく、法曹人口を引き続き増加させる必要性を強調することは適切ではない」と説明する。
法曹人口増加に異を唱えてきた埼玉弁護士会の大倉浩弁護士は「増えるとされた法曹需要は全国的にも万単位で減っている。企業内弁護士や公務員が増えたといっても微々たるもの。(司法試験合格者数は)個人的には700人でも多いと感じている」と話す。
需要減と弁護士増によるひずみも。一部の弁護士が「金になる」事件を優先している例もあると指摘。「弁護士活動の核である弱者救済が制度によって弱められる可能性もある」と疑問視する。
定員削減や統廃合が相次ぐ法科大学院。大倉弁護士は「数百万円から1千万円の学費が負担となっている。有名大学でも定員割れが起きており、大学院間の格差も広がっている。明らかにミスマッチが出ている」と問題点を挙げた。
県内の別の弁護士は「法律事務所に就職できず、一般企業に転職している若手弁護士も多い。合格者数を増やせと声の大きかった弁護士もだいぶトーンが落ちている」と実情を語った。
参照:埼玉新聞
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