2013年6月10日月曜日

取り調べ映像提供に公益性…弁護士が検察に対抗

 取り調べの様子を録画したDVDをNHKに提供したのは証拠の目的外使用だとして、大阪地検が佐田元真己弁護士を大阪弁護士会に懲戒請求した問題で、法曹界やメディア界に波紋が広がっている。

 同会に所属する刑事弁護のベテランら有志約10人が、懲戒請求に対抗する形で「支援団」を結成。専門家からは「証拠使用に関する法規定の是非を議論すべきだ」との声が上がっている。

 ◆法改正時も批判

 「検察から開示された証拠を公判準備などの目的以外で他人に渡したり、ネットに流したりしてはならない」。この刑事訴訟法の規定は2004年の法改正で、裁判員制度導入に向けた検察による証拠開示の拡大に合わせて新設された。事件関係者のプライバシー侵害や、証人への威迫などが起きるのを防ぐためだ。

 ただ、法改正過程でも反発は強かった。後に発覚した大阪地検特捜部の証拠品改ざん事件のように、証拠は捜査プロセスを検証する重要資料でもあるためで、日本新聞協会は「取材の制限につながる」との見解を発表。日本弁護士連合会(日弁連)も「裁判員制度が目指す『国民に開かれた司法』の理念に逆行する」との会長声明を出し、国会審議で、違反者への措置は「行為の目的や証拠の内容などを考慮する」との条文が加えられた経緯がある。

 支援団は6日に結成され、大阪弁護士会の調査に対して佐田元弁護士を擁護する「代理人」も務める考え。新たな参加予定者の一人は「取り調べの実態を明らかにしようとした行為には公益性があり、懲戒請求は行き過ぎだ」と話す。
 
参照:読売新聞

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