法曹人口や法科大学院のあり方を考える政府の法曹養成制度検討会議(座長、佐々木毅・元学習院大教授)は26日、最終会議を開き、最終提言を承認して終了した。7月の法曹養成制度関係閣僚会議に提出され、政府は新組織を作って検討を続ける。司法試験合格者を年間3千人程度とする政府目標が撤回されたほかは、司法制度を支える人材の育成に関する主要テーマで具体案が示されず、問題先送りで終わった。
受験テクニックばかりで応用力に疑問がある受験者が多いと批判された“一発勝負”の旧司法試験制度に比べ、「国民の社会生活上の医師たる専門的職業人としての自覚と資質を備えた人材育成」を掲げてスタートしたのが法科大学院を柱とする現法曹養成制度。だが、法科大学院全体の司法試験合格率が約20%にとどまるなど危機的状況だ。
法曹人口を増やすために合格者数をアップさせた結果、弁護士人口の供給過多も進み、就職難状態に。法科大学院入学から試験合格、司法修習といったプロセスを経て法曹資格を取る時点で若い人も20代半ば過ぎの年齢に達し、企業への転身も難しい。法曹界は質量ともに人材難と劣化に歯止めがかからない“負のスパイラル”に陥り始めた。複数の法曹関係者は「制度の設計時点で、法科大学院の数と司法試験合格者の数が多過ぎた」と、法曹人材の需給アンバランスが生じた点が問題とみる。
企業内弁護士として活躍する松原功日本生命保険リスク管理統括部長は「法曹へのニーズは伸びるが問題はスピード。年間1千名超の新人弁護士を吸収するには至っていない」と指摘。「養成にかかる時間も長過ぎ。大学法学部、法科大学院、司法研修所の役割を整理し、教育期間を短縮するのも一案」と述べた。
参照:産経新聞
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