2014年6月13日金曜日

いよいよ始まる法科大学院の再編、その行方は?

実践的な法曹(裁判官・検事・弁護士)を育成するために制度化され、2004(平成16)年4月にスタートした法科大学院が、大規模な再編の時を迎えている。今年に入って8校(2014年<同26年>5月末現在)が2015(同27)年度からの学生募集の停止を発表、学生募集停止校は廃校も含めて合計18校になる計算だ。法科大学院再編への道を、教育ジャーナリストの斎藤剛史氏が解説する。


 
■今春、法科大学院の入学定員充足率は6割を下回った
 
法科大学院は、スタート当初、修了者の7~8割程度が司法試験に合格できると見込まれていたことから、初年度の志願者は7万2,800人(志願倍率13.0倍)に上りました。しかし2014(同26)年春の入試状況を見ると、志願者は1万1,450人(志願倍率3.0倍)にまで減少。しかも、法科大学院の91.0%が入学定員割れを起こしており、法科大学院全体の入学定員充足率も59.6%と初めて6割を下回りました。
 
■合格率3割で不人気が爆発、補助金もカット
 
不人気の原因の一つは、予定されていた司法試験合格者の大幅増員が、法曹関係者などの反対で実現できなかったことです。修了者の7~8割は法曹になれるはずが、実際の合格率は3割を切っています。また、予想外に法科大学院が増えたことも原因の一つです。

文部科学省は、法科大学院を入学定員の充足率や司法試験合格率などで5段階に分け、最低ランクの大学院に対して2015(同27)年度は補助金を半額カット、16(同28)年度には全額カットする再編方針を打ち出しました。このため、廃止を含めて学生募集停止に踏み切る法科大学院が続出、今後もこの傾向は続くと予想されます。
 
■心配される法曹養成の今後
 
法科大学院の削減は、一部の有力校のみに学生が集中することを意味し、法曹の画一化につながりかねません。法科大学院の縮小・再編は避けて通れませんが、それによって多様な人材により実践的な法曹教育を行うという、法曹養成の理念が形骸化するようなことがあってはならないと思います。
 
参照:ベネッセ教育情報サイト

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