離婚したり長期間別居したりしている親が子どもとの面会を求めて家庭裁判所に調停を求める「面会交流」の申し立てが昨年初めて1万件を超え、10年間で倍増したことが最高裁のまとめで分かった。離婚後も両親が養育に関わることが、子の健全な成長に役立つという社会的な意識の高まりが背景にあるとみられる。ただ、調停が成立しない例が約4割あり、裁判所が関与しても、親同士の折り合いを付けることが難しいケースも多い現状が浮き彫りになった。
当事者同士で面会交流のルールを決められず、家裁に調停を求めるケースは以前からあった。2012年4月に施行された改正民法は、夫婦が裁判を経ずに「協議離婚」をした場合は、面会交流と養育費の分担を取り決めると規定した。法律で明文化されたことも申し立て増加に拍車をかけているとみられる。
厚生労働省の統計では、離婚件数は04年の27万804件が、13年は23万1384件まで減少している。一方で、面会交流事件の申立件数は04年の4556件が、13年は1万762件にまで膨らんだ。
また、13年中の申し立てで、調停が成立したのは5632件で、不成立は1309件。申し立ての取り下げなども含めた全終結事件(1万37件)に対する成立率は56%にとどまった。親同士の感情対立から、合意に至らないケースが相当数あることがうかがえる。
調停が成立しない場合、裁判官が独自に面会交流の可否や頻度を判断する「審判」と呼ばれる裁判に移行する。昨年の調停と審判を合わせた終結件数を夫婦別で見ると、父親側の申し立てが全体の69%を占めている。10年間の増加率は母親の1.6倍に対し父親が2.6倍になっており、育児に対する男性の意識の変化の表れとの指摘もある。
昨年、調停や審判で裁判官の命令に基づき家裁調査官が子どもの意向や養育状況を聞き取ったケースは全体の77%で、10年前の64%から増加した。家裁が子どもの状況を十分に把握して、問題解決に努めている姿勢がうかがえる。
家族の問題に詳しい榊原富士子弁護士は「離婚や別居の原因が配偶者のドメスティックバイオレンス(DV)にあるなど、面会交流には親同士の間の難しい問題が含まれているケースもある。家裁はそうした背景も含めて問題解決に向けた丁寧な調停や審判をしていく必要がある」と話す。
参照:毎日新聞
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