2014年8月27日水曜日

学生潰す「ブラックバイト」 対処冊子を無料公開

 販売のノルマを達成しないと自費で買い取り、授業や試験の予定を無視したシフトの設定……。そんな理不尽な働き方を学生アルバイトに強いる「ブラックバイト」への対処法をまとめた冊子ができた。全50ページ。7月からインターネット上で公開されており、無料でダウンロードできる。

  ブラックバイトという言葉は、中京大の大内裕和教授(教育学)らが昨年から使い始めた。昨年7月に学生約500人のバイトの実態を調べたところ、長時間労働などの「ブラック化」が明らかになったためだ。大内教授によると、「学生であることを尊重しないアルバイト」が定義で、低賃金なのに、正社員並みの義務や学生生活に支障が出るほどの重労働を強いられることが多いという。

 背景には、正規雇用の減少に加え仕送りが減って学生が簡単にバイトを辞められなくなったり、辞めるとフリーターとの競合で次のバイトが簡単には見つからなかったりする事情がある。全国で問題化していることを受け、大内教授と「ブラック企業被害対策弁護団」の鈴木絢子弁護士らが冊子をまとめた。

 まず労働条件や給与明細のチェックが必要とした上で、具体的な事例と対処法を、対応の難易度から初級編~上級編に分けてQ&A方式で解説している。

 例えば「希望した日・時間を無視してシフトを組まれる。14日連続勤務のこともあった」という相談には「契約や法律に違反する可能性がある。『何とかしてほしい』と他の人の助けも借りて言ってみよう」などと回答し、労働基準法の規定も掲載した。

 また「コンビニでバイトをしている。ケーキ販売がノルマに達しないと、天引きで買い取りさせられる」というケースでは「労働契約とは別の契約になるし、お店側が強制できるものではない」と答えている。冊子では、相談窓口がある各種機関も紹介している。

 大内教授は「ブラックバイトをやっていても、それがわかっていない学生が大半なのが現状。『何かおかしい』と感じたら、冊子をチェックして声を上げてほしい」。「ブラック企業対策プロジェクト」のホームページ(http://bktp.org/)からダウンロードできる。

 ブラックバイトを巡っては、8月1日に大学生ら約20人が労働組合「ブラックバイトユニオン」を結成するなど、対抗する動きが盛んになっている。10日には東京都内で対処法を学ぶセミナーも開かれ、約40人が参加した。


■「ブラックバイト」の具体例

・勤務先の塾では時給が払われるのは授業時間だけ。保護者との面談や会議の時間は時給が払われない

・「バイトは有給休暇を取れない」と言われる

・コンビニで、ケーキ販売がノルマに達しないと天引きで買い取りさせられる

・希望した日・時間を無視してシフトを組まれる。テスト前に休みたいと伝えても認められない

※冊子「ブラックバイトへの対処法」から抜粋。実際にあった相談をもとにしている

参照:朝日新聞

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