2014年8月21日木曜日

半値は当たり前! 競売物件・任売物件に手を出していいか

■法的に排除できる不法占拠の「占有屋」

 不動産物件を市場価格より安く買う方法は2つある。競売と任意売却(任売)だ。「競売物件」は、市場価格の40~65%、入札者がいなかったために「特別売却物件」となったものであれば30~50%になる。任売の場合は競売より割高で、70%前後が多い。しかし、「競売」というと多くの人は、「競売物件は相場より安い。でもキケン。素人が手を出すものではない」という印象を持つのではないだろうか。

  確かに競売の多くは、担保権の実行により、市場では流通せずに裁判所を介して売却されるもので、何らかの瑕疵や事情があるのは事実。とくに、不当な立ち退き料などを要求して不法に居座る占有者の存在があった。しかし、民法395条の改正で短期賃貸契約制度が廃止され、こうした不法居住する「占有屋」が排除できるようになった。さらに民事執行法81条の改正で、所有権登記と同時に抵当権が設定できるようになり、落札した物件を担保に住宅ローンを組めるようになった。

 ところで競売物件の情報は、どこで入手できるのだろうか。これまでは、最高裁判所が運営する「不動産競売物件情報サイト」、通称BITにアクセスするしかなかった。BITは誰でも全国の競売物件情報を無料で閲覧、ダウンロードできるが、その情報だけで物件の価値を一般人が読み取るのはなかなか難しい。

 ところが競売物件の専門サイト「981.jp 不動産競売物件情報センター」にアクセスすれば、BITに掲載されている物件情報とともに、賃貸した場合の予想利回りなどでランク付けした物件の情報が公開されている。が、これはあくまでも物件情報にもとづく分析結果であることを頭に入れておくべきだ。というのは、競売の不動産には執行官が現地に赴き、各種調査をして作成した物件明細書などがあるが、調査日は入札開始日の数カ月前で、その後の状況の変化については書かれていない。このため、入札を決断する前に必ず現地に足を運び、環境、建物、占有者の有無の3点は調査するべきだ。

■煩わしい手続きは競売代行入札業者に

 それでは、入札するにはどのような手続きが必要なのか。競売物件の入札期間は1週間。入札前の閲覧期間は3週間なので、閲覧して入札が終わるまで、公開期間は4週間しかない。開札は入札締め切りから1週間後に行われる。入札の申し込みは、買い受け申し出のための保証金(売却基準価格の20%)を裁判所指定の預金口座に入金したうえで、入札書と入札添付書類を執行官室に持参するか、郵便等で送付する。サイトの「981.jp」では対象不動産を取り扱う競売代行入札業者を紹介しているので、こうした業者を利用するのもいいだろう。

 不動産を安く手に入れるもう一つの方法の任意売却は、不動産所有者(債務者)が借入金の返済ができなくなり、抵当権を設定した債権者である金融機関によって競売にかけられる場合によく行われる。具体的には、不動産業者や弁護士といった仲介者を立て、競売前に買い主との話し合いにより売却してもらうものだ。なるべく負債を多く返済したい所有者と多く回収したい債権者は、市場価格に近い高値で売りたいわけで、売る側にとっては、一般的にこのやり方のほうが競売よりも高い値段で売れるメリットがある。任売の場合は、物件内部の様子を見せてもらったり、細かい点の確認なども容易だ。ただ、任売物件の情報を得るのは素人には難しいので、任売物件をメーンに扱う町の不動産屋を利用するのが手っ取り早い。

 新築住宅を建てることを考えれば、頭金に多少のプラスαで不動産競売物件を取得できるのだから、利用しない手はない。
参照:プレジデント

0 件のコメント: