「今晩Hしませんか」「大金に当選しました!」など、日々届く怪しげな内容の迷惑メール。ネットでも、「こんな迷惑メールが来た!」と紹介されたりしているが、その先にどんなサイトがあって、どんな結末が待っているのかまで書かれているものは少ない。興味はあっても、クリックしたり登録してしまえば大変なことになりそうで怖いから、その先にはそうそう進めない。
しかし、『迷惑メール、返事をしたらこうなった。 詐欺&悪徳商法「実体験」ルポ』(イースト・プレス)では、悪徳商法コラムニストやキャッチセールス評論家としても活躍するルポライター・多田文明が、実際に迷惑メールに返事をしてみたらどうなるかを検証している。怪しげな迷惑メールに返事をしたら、一体どうなってしまうのだろうか。
たとえば、友達申請のメール。最近、LINEやFacebookなど、さまざまなSNSが普及していろんな人から友達申請のメールが届くようになった。覚えのない友達申請に著者が許可をしてみると、まずはすぐさま個人用のアドレスが送られてくるそう。そして、他愛もないメールや写真を一方的に送りながら、次第にもっと知ってほしいからブログを見てほしいと出会い系サイトへの入会を促してくる。それに対して気まぐれに返信していると、12日目にはついに「最後に」と題したメールを送ってくるのだ。この内容は、「日記ページに登録して新たな携帯アドレスをゲットしてくれなければ連絡を断つ」というもの。最近は手が込んできていて、何度もメールを重ねて淡い恋心を抱かせたり、心の距離を近づけたところで出会い系サイトにアクセスさせるようになってきているよう。
さらに、出会い系に誘導するだけでなく、実際に会って高額な契約を迫る「デート商法」なんてものも。SNSなどで「自分自身の状況をさらけ出しすぎ」て、詐欺や悪徳業者に狙われることもあるので、一見怪しくなさそうでも、知らない人からの友達申請メールには気をつけたほうがよさそうだ。
また、出会い系メールといえば若くてキレイな女の子やお金持ちの人から届くイメージがあるが、なかには90歳の老婆から届くものもあるそう。初めは、話し相手になってほしいという内容のメールが老婆から届く。その後、老婆の孫や皇帝を名乗る男性からもメールが来るようになるのだが、しばらくすると老婆からのメールが担当医からのものに変わり、老婆が危篤だというメールが送られてくる。そして、孫や皇帝、老婆を慕うさまざまな人から「お見舞いに行きましょう」というメールが届くのだ。そのまま無視していると、ついに老婆は亡くなってしまう。それからは、「最低」といった非難する内容のメールと老婆の遺産相続についてのメールがくる。まるで、何かの物語を読んでいるような気にさせられるので、ついつい続きが読みたくなってしまう。
迷惑メールは、とにかく「私たちの興味を引くような言葉でメールを読ませよう」としてくる。一時期は、チンパンジーから届くメールが話題になったこともあったが、どんなに興味がわいても、決してURLはクリックしないのが身のためだろう。
さらに、怖いのは弁護士からのメールや銀行なりすましメール、自分の住所を知っているかのようなメール。自分がネットで何かを注文した際、数日後にまったく同じものが当選するなど、個人情報が漏れているのかと受信者が焦ってしまう内容のものだ。しかし、裁判所の通知がメールで届くことなど「絶対にありえない」し、メールで「このままだと訴訟問題に発展しますよ」と書いておきながら、「相手が誰だとか言うことはできない」など、よく読むとツッコミ所満載のおかしなものが多いのも特徴のよう。電話の場合も、相手のペースにはまって話を聞いていると怖くなりそうだが、こちらが急に質問をしたりすると途端に慌て出したり、決して自分たちの住所や情報を明かそうとしないので、冷静になって「おかしい」と思う部分があればその業者について調べて、通報すればいい。それが無理なら、すべての会話を録音しておいて他の人に判断してもらうのでもいい。
数々のキャッチセールスや悪徳商法にあえてひっかかってきた作者だからこそ、そのパターンを知って対処できたのであって、普通の人がこういう状況に陥るとどうすればいいかわからなくなるはず。やはり、興味を持っても怪しいものにはアクセスしないのが1番だろう。
参照:ダ・ヴィンチ電子ナビ
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