かんぽ生命が今月からアメリカンファミリー生命(アフラック)のがん保険を販売する。すでに系列の郵便局も同社のがん保険を取り扱っているから、よほど儲かるようだ。だが、その一方で給付金の不払いも問題になっている。
日刊ゲンダイは、これまでも高額な保険料など割に合わない保険のカラクリを紹介してきた。しかし、いざというときの保障が欲しい人もいる。生命保険協会によれば、がん保険の契約数は12年度で2054万件、保有契約高は38兆円という凄まじい金額だ。
ところが、がん保険に入っているのに、肝心の給付金が支払われないことがある。生命保険協会への保険全般に関する苦情・相談件数は、12年度で1万件を超えている。
「苦情と一般相談の合計は1万3134件。うち苦情は5697件で、その約28%が保険金・給付金に関するものです」(生命保険協会・担当者)
がん保険の苦情例としては「入院して手術を受けたので給付金を請求したが、上皮内新生物のため、非該当になった」といったものがあった。上皮内新生物とは、簡単に言えば、初期のがんのこと。もちろん、立派な悪性腫瘍だが、保険によっては、診断時の給付金が出ない、もしくは減額されるケースがある。
例えば、アフラックの基本プランの場合、生き死にに関わるがんなら一時金100万円が支払われるが、上皮内なら10万円。メットライフアリコも同様に50万円と25万円の差がある。
「ほかにも、がん診断を受けて入院給付金を請求したら、普通は診断時一時金や手術費用も一緒に手続きして支払ってくれると考えるもの。しかし、一部の保険会社はそうじゃない。契約者が請求したのは入院給付金であって、それ以外は請求ナシと考える。これが少し前に騒がれた1000億円を超える保険金不払いの理由でした。原則2年の請求時効が過ぎ、取りっぱぐれる人もいます」(保険代理店スタッフ)
ほかの不払いの例としては、90日の免責期間内にがんと診断されたり、過去の病歴の申告漏れが発覚した場合がある。また、初めてのがんだけが支払い対象だったり、5年以内の再発はダメといった無数の条件がある。これは約款に書いてあるから後でジタバタしても始まらないが、約款をすべて理解できる人は少ない。それでトラブルになるケースは後を絶たないのだ。
では、そんなときはどこに相談すべきなのか。まずは全国の国民生活センターや生命保険協会([電話]03・3286・2648)に相談。それでも解決しなかったら、保険を専門に扱う弁護士事務所に連絡するのも手だ。いったん支払いを拒否された給付金が戻ってきた例もある。
「ネットではなく、保険外交員を介して契約するのも多少の防衛策になります。保険外交員は保険に加入してもらうことで給料をもらっていますから、不払いで顧客の評判が悪くなることの方を嫌う。自分が告知義務を怠った場合は別にして、親身に保険協会などに相談してくれますよ」(前出の代理店スタッフ)
保険会社は、加入者のことをすべて分かっているわけではない。過失もある。自分の保険内容は自分で調べるしかない。支払いについて分からないことがあれば、どんどん相談してみることだ。
参照:日刊ゲンダイ
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