来店型相続相談窓口の「相続ハウス」を運営するエスネットワークスは現在、東京、名古屋、大阪で展開している5店舗を年内に10店舗に拡充する。また、FC(フランチャイズチェーン)展開や店舗型保険代理店との合同店舗も構想しており2018年には約30店舗に増やす方針だ。今年1月に施行された相続税の税制改正によって基礎控除額が引き下げられ、課税対象者が増えた。しかし、何をすればいいのか分からないという納税者も多く、こうした疑問に応えた上で、各種のサービスを提供する。
相続に関する相談は金融機関や法律事務所などで受け付けているが、敷居が高く広く利用されているとは言い難い。そこで経営コンサルティング事業を手掛けるエスネットワークスは、店舗型保険代理店のような、気軽に立ち寄ることができる「相続ハウス」を始めた。
昨年6月に東京都世田谷区の小田急線経堂駅前のビル1階に第1号店をオープン。これまでに同区の京王線千歳烏山駅前のほか、エスネットワークスの東京、大阪、名古屋の各オフィスで相談を受け付けている。
明るく入りやすい店舗で、コーヒーやお茶菓子が用意され、買い物のついでに立ち寄ることができる。応対するのは民間資格の相続診断士を取得した20~30代半ばの女性で、相談や悩みを聞く。グループに所属する税理士が、簡易シミュレーションで相続税を支払う必要があるかどうかを無料で診断する。
税務申告や税金のコンサルティングなどは税理士が有料で応じ、相続書類作成や資産運用などについては提携先の法律事務所や金融機関などを紹介する。このため、各専門家の元へ足を運ぶ手間を省くことができ、相続に関する相談・手続きをワンストップで完結できる。
来店客は、相続を受ける側となる40~50代の年齢層が過半数を占め、「相続のことを考えなければならないが、どうしたらいいのか分からない」「どうやって兄弟3人で一軒家を相続するのか」などの質問に応じる。また相続する側も「事前に遺言書を用意したいが、作成の仕方が分からない」といった不安を抱えているという。
これまで来店客の延べ人数は累計で約500人。店舗拡大によって今年は1000人の来店を目指し、さらなる認知度向上と利用を促すため、さまざまなイベントを開いている。
税理士や弁護士による生前贈与対策や遺言書の書き方などの無料相談会は、毎回事前予約が必要なほどの人気だ。シニア・シルバー世代向け写真スタジオのえがお写真館(東京都豊島区)による出張遺影撮影会は、通常の半額の料金で撮影できる。
相続ハウス事業部運営担当役員の宮部賢一氏は「相続税はそのときに考えては遅い。早めに準備することが大事だ。まず無料相談に来てもらい、自身の現状を把握してもらいたい」と気軽に来店するよう促している。
参照:SankeiBiz