2014年11月13日木曜日

『うちは完璧な相続対策をしているから…』という人が後悔する前に知るべき事

 相続のコンサルティング業務を行っていると、相続関連のセミナーや、異業種交流会に招かれることが多々あります。

 私のコラムでも、しばしば申し上げているように、「うちはお金持ちじゃないから大丈夫」や「うちには相続するモノなんてない」等の回答いただく方には、気分を損ねない程度に、さりげなく、相続の「複雑さ」、「煩雑さ」等をそれとなくお話しており、後日、ご連絡を頂くケースもあります。


 しかし、困ったことに、実際に、既に遺言を書かれた方、節税対策をされている方に、ご挨拶をすると、

「うちは、完璧な相続対策をしてるから…」

 なんて回答をいただくことが少なくありません。

 これは、行政書士さん、司法書士さんをはじめ、弁護士さん、税理士さんが様々なセミナー等で、「遺言」の大切さ等を訴えかけてきてくれた功績でもあると思いますが、このように既に何かしらの相続対策を講じていらっしゃる方は、その際に色々と学んでいらっしゃるので、それなりに相続に知識がお持ちのため、なかなか、素直に話を聞いてくれません。

 相続対策には、(遺産)分割対策、納税対策、節税対策の3本柱がありますが、対策を講じた時と今現在、そして将来に渡って考えると、これらは、何れも見直しをすべきものです。

 例えば、分割対策として、皆さんがイメージし易い、遺言。

 遺言者の方の財産は、遺言作成時と全く変化していないでしょうか。遺言の中で、相続を受ける方は、今も元気でご存命でしょうか。また、その方々の家族構成は当時と変化はありませんでしょうか。

 たった数年前に作成された遺言でも、ご本人のご年齢が高齢であったり、お若かったりすると、作成時と今現在では、大きく異なる方もいらっしゃいます。

 実際、6年前に作成された遺言書でも、そもそもご自分より長生きされると思っていた配偶者が既に他界されていたり…、当時は心身ともにお元気だったご本人も、当時は、愛想もなかった放蕩息子が、実は、日々、懇切丁寧に介護をしてくれたり、何より、その配偶者の方が、献身的にサポートしてくれたり…、また、遺言執行人が既に他界されていたり…等といったことも考えられます。

  納税の観点からいえば、若干、節税ともつながりますが、従前の税制では、相続税が発生しなかったものの、来年以降の相続税の増税により、自身の相続時には、多少なりとも、相続税が発生されることが分かったり…1次相続において、税務上、かなり貢献できるはずの配偶者控除を想定していたものの、配偶者の方が、ご自身より先に他界されてしまったり…。

 節税の観点からいえば、そもそもの相続税法の改正により、算段が狂った…なんてことは、よく聞きます。そもそも、その大半が来年から反映される平成25年度税制改正により、その適用要件自体も大きく変化さえる方もいらっしゃいます。また、相続税法の抜け穴を利用して実行した相続対策も、直近の判例では、税務署に否定され、ご自身の節税策に不安を抱くようになったという方も多いのではないでしょうか。

 相続対策は、生き物です。それは、生きているヒトに非常に密接にかかわるものであるからこそ、人間関係、財産をはじめ、個としての人だけでなく、その個の集団としての国家の状況も日々、目まぐるしく変化することにより、税制をはじめ、文化、法律等も変化します。

 ご自身の相続対策が完璧だと思われている方をはじめ、今、現在、相続対策を考えていらっしゃる方も、今、改めて考えていただき、数年ごとに、その見直しをされてみるとこを推奨したいと思います。

参照:マネーの達人

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