かつら製造・販売の最大手「アデランス」(東京)の店長だった男性従業員から繰り返しセクハラを受けて心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症し、退職を余儀なくされたとして、兵庫県内の店舗に勤務していた元従業員の女性が同社に計約2700万円の損害賠償を求めた訴訟があり、同社が女性に解決金1300万円を支払うなどの内容で大阪地裁(谷口安史裁判長)で和解していたことが19日、分かった。和解は昨年11月28日付。
【和解額は異例の高額】
セクハラ訴訟に詳しい弁護士によると、今回の和解額は同種事案の中でも異例の高額という。
訴訟記録などによると、同社は解決金の半額650万円について男性従業員に負担を求めるほか、男性従業員の在職期間中、原告が居住する京阪神地域を勤務地や出張先にしないよう努めるなどとする内容。男性従業員は女性の提訴時には関東地方の勤務地に異動していた。
訴えによると、女性が兵庫県内で勤務していた平成20年3月、大阪市内の店舗の店長だった男性従業員が指導目的で来店。「数字を達成できなかったら彼女になるか、研修もしくは転勤だ」と脅すなどし、無理やりキスをしようとしたり、体を触ったりするセクハラを繰り返したという。
【繰り返しセクハラ受け、PTSDに】
女性は警察に被害を届け出ようとしたが、同社の幹部から止められて精神的に不安定になり、休職。22年1月にはPTSDと診断された。同社は女性をいったん特別休暇扱いとしたが、その後に給与の支払いを停止。女性は23年9月に退職した。セクハラについては地元の労働基準監督署が労災認定し、休業補償給付などの支給を決定している。
女性側の代理人弁護士は「訴訟について答えることはできない」。アデランスは「コメントは差し控える」としている。
■セクハラ訴訟に詳しい山田秀雄弁護士(第二東京弁護士会)の話 「近年のセクハラ訴訟は以前と比べて賠償が高額化する傾向にあるが、1300万円という和解額は同様のケースと比べるとかなり高額という印象だ。企業側が厳しい判決を避けて早期解決を図るため、高額の和解に応じたのだろう。ただ、日本のセクハラ訴訟の賠償額は100万~300万円が一般的で、女性が受ける痛みを考えれば低い。米国での訴訟のような億単位の賠償額は異常だが、女性の被害の重さを知るには今回の和解額は妥当だと思う」
参照:産経新聞
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