「女子大を受験したい」――。福岡県在住の20代の男性が公立福岡女子大(福岡市)に入学願書を受理されなかったことを「不当な性差別で違憲だ」として福岡地裁に提訴した。不受理処分の取り消しと慰謝料約66万円の支払いを求めている。
男性の代理弁護士の作花知志氏によると、男性は性同一性障害ではなく、栄養士の資格を取るために同女子大の食・健康学科を志望しているという。
「男性は経済的な余裕がないため、自宅から通える公立の福岡女子大を志望しているのです。2013年と14年の秋に願書を出したものの、受理できないという理由で送り返されました。地裁の判決が2月の入学試験に間に合わなくとも、裁判所が受験資格を認めれば、試験のやり直し義務が発生すると考えています」
■大学の自治権との整合性
普通の男性が女子大の受験を求めて提訴とは前代未聞のこと。裁判になれば、どんな判決が考えられるのか。
憲法問題に詳しい弁護士の村上英樹氏が言う。
「性差別という点で、男性が公立の女子大に入学してもいいのではないかという議論はかなり前から憲法学者の中で続いています。国や自治体の税金で運営している教育機関で学ぶ権利は男女の性差に拘束されない。だから願書を受理しないのは違憲、違法という考えです。ただ、現実問題として男性の主張が認められるのはけっこうハードルが高いと思います。いきなり男性が入学すれば、更衣室やトイレなどの施設を新たに用意しなければならないし、そもそも大学には自分たちで決めるという自由が認められているからです」
ただし、男性の主張が通らなくても、公立の大学が入学者を女性に限定していることを疑問視する判決が出る可能性もあるという。
「男女別学でいいのかという議論が高まれば、公立女子大の在り方が変わるかもしれません。お茶の水女子大が男女共学になる可能性もあるのです」(前出の村上氏)
注目の裁判になりそうだ。
参照:日刊ゲンダイ
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