30日以内の短期 原則禁止
派遣労働は、労働者、派遣会社、派遣先企業の3者で成り立つ特殊な働き方だ。労働者と企業が直接の雇用契約を結ぶ通常の働き方とは違う。
労働者は、派遣会社と雇用契約を結び、雇い主である派遣会社が、賃金の支払い、解雇などの法的な責任を負う。でも、実際に働く職場は派遣先の企業。仕事に関する指揮命令も派遣先から受ける。
今回の見直しは、今年3月に成立した改正労働者派遣法に基づくもの。1985年に労働者派遣法が制定されて以来、規制を全面で強化する改正は初めてとなる。2008年秋のリーマン・ショック後、派遣労働者を解雇する「派遣切り」が相次いだ。仕事に就いていても不安定な生活を強いられる「働く貧困層」の問題が、顕在化したことへの対応だ。
見直しの柱の一つは、日雇いを含む30日以内の短期派遣を原則禁止したこと。雇用期間が短く、不安定な働き方を強いられるためだ。ただ、短期の仕事が多い通訳や添乗などの一部職種、60歳以上の人、学生などは例外となる。
また、労働者が納得して働けるよう、派遣会社に対し、派遣料金と賃金の差額の比率を公開することも義務化する。直接雇用から派遣への安易な置き換えを防ぐ改正も行う。例えば、A社に雇われていた労働者を、離職後1年以内に派遣労働者としてA社に派遣することは禁止される。
このほか、雇用期間が通算1年以上の派遣労働者については、本人が希望すれば、派遣会社は正社員などの期間の定めのない働き方に転換するよう努める。派遣会社には、同じグループ内企業に派遣する割合も8割以下に制限する。
派遣先への規制も強化される。15年10月以降は、違法な派遣があった場合、派遣先企業が労働者に直接雇用の契約を申し込んだものとみなす。
ただ、今回の改正では、懸案だった製造業への派遣や、仕事がある時だけ雇用契約を結ぶ登録型派遣の禁止は見送られた。「企業経営を圧迫しかねない」と懸念した自民、公明両党に譲歩したためだ。
派遣労働は仕組みが複雑で、今回の見直しも多岐にわたる。各都道府県の労働局や厚生労働省のホームページで確認できる。
参照:読売新聞
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