近い将来、3人に1人が65歳以上のシルバードライバーになるクルマ社会。どんな対策が必要なのか。
神奈川県横浜市郊外に住むAさん(無職=69)は昨年秋、運転する軽トラックを駐車中“オカマを掘られる”という交通事故に遭った。2車線道路の片側に寄せて駐車し、妻に携帯電話をかけていたという。
「後ろから乗用車がドンとぶつかってきました。混雑している道でもない。相手は、脇見運転でもしていたのでしょうね」
首に強い痛みを感じながら、車から降りると、相手側の運転手も降りてきて、開口一番、「すみません!」とわびた。見た目、同年代である。Aさんはすぐ、警察に通報しようとした。ところが相手が、「警察が介入すると面倒になるので示談にしましょう。とにかく、すぐ病院に行って診察を受けてください」と、受診を勧めた。
お互いに携帯電話の番号を交換して別れ、その後、3度ほど話し合いの場を持った。相手は明らかに加害者なのに、誰かに知恵を借りたのか、
「あの道路に駐車していたのは駐車違反です。後方ランプも点滅していなかった。あなたが悪い」
いつの間にか、被害者のAさんは加害者にされていた。もとより気弱な性格のAさんは、相手の主張に全面降伏。その後、頚椎(けいつい)捻挫の治療で半年余りかかった通院費まで、自腹の支払いになった。Aさんは幸い頚椎捻挫の事故で済んだが、こうしたシニア層の交通事故が増えているのだ。
警察庁交通局の統計(2013年)によると、年間の死者4373人のうち、65歳以上が52.7%も占めている。
■気弱な性格な人ほど法律のプロに任せるべし
このようなシニア層による交通事故の急増に伴い、各保険会社もシニアの交通事故対策としてセミナーなどを盛んに開講している。そのひとつ「三井住友海上」は、シニア層交通事故原因のアンケート調査で、
(1)ハンドル、ブレーキの誤操作。
(2)交差点での出合い、右折事故。
(3)一時停止、優先通行の誤り。
を、事故原因の3本柱として公表している。運転慣れ、機敏性の欠落、体力の低下……。
しかし、これらはシニアが加害者にならないための啓蒙(けいもう)。自動車保険は加入していれば、事故を起こしても保険会社が守ってくれる。問題は被害者となったシニア層。
どんな対応がベターなのか。
「年間400件の交通事故相談」を扱う“交通事故レスキュー隊”の「NYリーガルパートナーズ」(東京・新宿、代表=中村泰正弁護士)は相談無料。成功報酬は損害賠償獲得金の10.5~26.2%と定めている。
また、交通事故の相談が多い「あだん法律事務所」(東京・港区)の佐々木惣一弁護士もこう言う。
「交通事故を起こされたら、すぐ弁護士に相談するのが賢明ですね。保険会社がシビアになるのは当然だし、まして示談にすると、取れる損害賠償金も少なくなる可能性がありますから、法律のプロに任せることです」
参照:日刊ゲンダイ
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