2014年1月28日火曜日

復興庁 不足の司法書士派遣 被災地の都市計画支援

 東日本大震災の被災地で、集団移転や土地処分などの遅れが復興の足かせとなる中、復興庁は新年度から司法書士を採用し、被災自治体への派遣を始める。法律や登記などの専門家は今後本格化する被災地の都市計画にとって欠かせない戦力。これまで、多くの負担を強いられてきた被災3県の司法書士らは「仕事をシェアできれば、今まで以上に生活再建が進む。被災者が落ち着いた生活を取り戻すためにも必要な施策」と期待を寄せている。

  盛岡市内に事務所を構える30代の司法書士の夫婦。東日本大震災発生後まもなく、自分たちの事務所が請け負う仕事とは別に、毎月のように岩手県内の沿岸被災地を訪問し、相談会などを開いてきた。移転や土地の処分などについて被災者から法律相談を受けるためだ。この男性司法書士は「岩手だけではなく、被災地の沿岸部は弁護士の現状などと同様、司法書士の過疎地域でもある」と指摘する。

 県内とはいえ、盛岡市内から遠く離れた沿岸部を回ることは大きな負担だったが、被災者を放っておくことはできなかった。

 男性司法書士は「片道数時間をかけて沿岸部に出向く。休みは削られるし、当然、ボランティアのため費用も持ち出し」と打ち明ける。

 自治体も土地処分などの専門家が不足している。集団移転先や公営住宅建設などの用地確保のため自治体は土地買収を進める必要があるが、土地取引に関する法律や登記に詳しい職員は限られていて、交渉が進まない現状がある。

 そこで復興庁は、新年度から日本司法書士会連合会を通じて司法書士を募集。非常勤職員のかたちで採用して被災自治体に派遣する。

 司法書士は各自治体の復興現場で地権者の特定や収用・買収に向けた交渉などの支援を行っていく。

 男性司法書士は「司法書士を含め被災地での専門家不足はずっと指摘されてきた。国の支援は遅すぎるとも思うが、派遣されてくる人たちと連携を取って、前向きにサポートしていきたい」と話している。

参照:産経新聞

0 件のコメント: