◇「クリーンエネルギー普及に水差す」 被害防止へ県が金融機関に協力要請
県弁護士会が昨年12月、太陽光発電を巡るトラブルについて電話相談を受け付けたところ「ローンを組んで工事代金を前払いしたが、工事に着手してもらえない」「一向に工事しないのでクーリングオフをしたが返金してもらえない」などの相談が多く寄せられた。同会によると、県内の消費生活センターにも同様の相談が相次いでいるという。
工事代金はほとんどが200万~300万円で、一部の業者が客に対して前払いを要求。多くの客は業者と売買契約を結んだ後、工事前に金融機関でリフォームローンなどを組み、業者側は代金を一括で受け取る。ところが業者は工事をせず、代金だけを「持ち逃げ」。返金を求めても応じないという。
一方、客と金融機関との間で結ばれた融資契約は、売買契約とは別の契約のため、業者が工事をしないからといって金融機関が法的に責任を負う必要はないという。そのため、客は金融機関に対する返済だけを続けなければならない。
県弁護士会の石川浩一郎弁護士によると、業者側が特定の金融機関を紹介するなど、業者と金融機関の癒着が疑われるケースもあるという。石川弁護士は「工事開始前に金融機関から業者に工事代金が全額渡ってしまう契約形態が問題。施工確認や業者の調査をしない金融機関側の責任も問われるべきだ」と強調する。
こうした状況を受け、県は先月28日、県内の銀行や信用金庫などでつくる「県金融広報委員会」の会員企業に対し、新たな被害を生まないため、太陽光発電を巡る融資は着工を確認してから行うよう文書で求めた。ただ、「クリーンエネルギーとして太陽光発電の普及は重要」(県民生活課)とされており、関係者からは「一部の悪徳業者のために普及に水を差されるのではないか」との懸念もある。
参照:毎日新聞
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