昆虫が交尾する姿をイラストで描いた書籍「昆虫交尾図鑑」に掲載されたイラストが、ネット上に公開されている写真を無断で模写したものではないかと指摘されており、これに対して出版社の飛鳥新社は12月10日、「書籍中のイラストは著作権を侵害するものではないと考えております」という見解を公表した。
同書の著者は東京芸術大学生の長谷川笙子さん。Webメディアに掲載されたインタビューによると、講義で本を作る課題が出たため、「『交尾』をテーマにした図鑑をつくったら、面白いんじゃないかと思いまして」とイラストを制作、これが出版されることになり、12月7日に発売された。
だが出版後、ネット上に愛好家らが公開している写真にそっくりだという指摘が相次ぎ、写真とイラストを比較した検証画像が公開されるなどして、ネット掲示板で“炎上”する騒ぎになっていた。
飛鳥新社が公表した見解によると、「(写真とイラストの)類似性とは、主として昆虫の姿と交尾の体位によるものといわざるをえません」「昆虫の姿をリアルに描いた場合に、写真における昆虫の特徴と類似するのは当然」「昆虫の交尾の姿に個性的体位がないのは自明」であるため、「イラストが写真に類似するという理由だけで著作権侵害とならないこともまた明らか」として、著作権侵害ではないと主張している。
また写真と、イラストが描いた角度が異なるのは「両者を比較すれば明らか」であり、写真とイラストのそれぞれの創作性はこの点に表れているため、「創作性における類似性はありません」とした。これらは「著作権に詳しい弁護士の検討を経たもの」という。
また同社は、一部Webサイトで「誤解に基づく弊社書籍や著者に対する中傷」があるようだとして、理由なき中傷をやめるよう求めている。
サイトでは著者の長谷川さんのコメントも掲載。「一連の騒動で皆様に多大なご迷惑とご心配をおかけし、また対応が遅くなり、大変申し訳ありませんでした」と謝罪した上で、「この件に対しての私の見解と対応につきましては、後日、改めて説明させて頂きたく思います」としている。
飛鳥新社の見解に対し、表紙のイラストと酷似していると指摘された写真を撮影・掲載したサイトの運営者は「表紙の虫は個体差も激しいのに、すべてが一致」しているとして、Twitterで憤りをあらわにしている。運営者のもとには長谷川さんからメールがあり、写真を見てイラストを描いたことを認める内容だったという。
参照:ITmedia ニュース
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