暴力団と関係したとして、佐賀県警の要請に基づき公共工事の指名停止を受けた県内の土木会社について、県弁護士会民事介入暴力対策特別委員会の弁護士らが「関係解消」を確認して報告書を作成し、同社が県警に提出した。県警は事実確認し、行政への排除要請解除を検討する。企業と暴力団との関係が社会問題化する中、弁護士や県警などが連携して企業の暴排を図る全国的にも珍しい取り組みだ。
県警は今年8月、同社が暴力団と不適切な関係にあったとして、県などに排除を要請した。同社の前社長が、資金繰りのため暴力団関係者から金銭の借り入れをしたためとみられる。要請を受けて、県は9月、同社を4カ月の指名停止にした。国土交通省九州地方整備局や関係自治体なども指名停止とした。
同社はその後、新たに顧問弁護士を置き暴力団排除に着手。社長が交代し▽弁護士や税理士、取締役会による帳簿類のチェック▽全社員の暴力団追放講習の受講--などを実施した。同社から依頼を受けた県弁護士会民事介入暴力対策特別委の弁護士3人が、暴排の取り組みを確認。さらに取引先をリストアップし、県警が暴力団との関係がないこともチェック。「暴力団との社会的に非難される関係が解消したと認められる」とする報告書を提出した。
県警は報告書などを精査し、排除要請を解除するかを検討。要請が解除されれば、県など行政側は指名停止の解除を検討する。
毎日新聞の調べでは、九州地方整備局と九州8県と山口県、福岡、北九州両政令市が、暴力団との関係を理由に公共工事の指名停止などにしたケースは少なくとも約220件あった。
同社の顧問弁護士、三宅敬英弁護士(長崎県弁護士会)は「暴力団と関係した企業を排除するだけでは根本的な問題解決にならない。企業の立ち直りにつながる取り組みで意義がある」と強調。同社を調査した佐賀県弁護士会民事介入暴力対策特別委員長の井上和弘弁護士は「(チェックシステムの)乱用をどう防ぐかや、弁護士が調査できる範囲が限られるなかで調査の信用性や客観性をどう確保するかなどの課題はある。改善に向けて警察などと話し合いたい」と語った。
参照:毎日新聞
0 件のコメント:
コメントを投稿