1年間に約24万組が離婚する時代。子供のいる離婚家庭の8割は母子世帯で、その後の収入や住まいなど、女性の立場は男性に比べると厳しい。だが、新しい一歩を踏み出すための支援も広がり始めている。離婚をめぐる状況を追った。
1月、大阪府吹田市のビルの一室。ベビー布団やおもちゃが用意された会場に子供連れの母親らが集まっていた。子供をあやしながら女性講師の言葉に熱心に耳を傾ける。
「私は離婚が頭をよぎったとき、考えれば考えるほど、お金のことが心配でした」。ファイナンシャルプランナーの加藤葉子さん(39)が自身の経験を交えながら語り掛ける。
◆「新生活始めたい」
「離婚が頭をよぎったら…子供のために知っておきたいお金の話」と銘打ったセミナー。集まっていたのは離婚問題に直面している母親7人だった。離婚後の生活費、養育費や財産分与といったお金をめぐる説明に真剣に聞き入っていた。
その一人、パート従業員の女性(44)は転職を繰り返す夫との離婚を考え、子供2人と家を出る覚悟だ。「養育費は期待できないけど、家や個人年金などの財産分与はきちんとしてもらって、子供と新生活を始めたい」。夫の女性問題に傷ついたという女性(33)は現在、修復に向けて話し合い中だが、「離婚後の子育てに掛かる費用をシミュレーションしておきたい」と参加していた。
加藤さんは離婚の際、お金に関する不安な気持ちをどこにも相談できなかった経験を持つ。同じような女性たちの力になりたいと、一昨年から自治体の青少年会館などでセミナーを開催している。「離婚でまず悩むのはお金の問題。きちんとした知識を持つことが大切です」
◆幸せへのステップ
法律などの知識を学び、住居や仕事などを準備し、離婚に向けた「離活」を進める女性たちが増えている。
1人親家庭のための相談を受けている大阪府母子家庭等就業・自立支援センター(大阪市中央区)。現在、約4割が離婚前の相談だという。同センターは「衝動的に離婚しないでほしい。悩んでいるときこそ、住まいや仕事を見つけるなど準備が大切、とアドバイスしています」。
『30代離婚の教科書』(総合法令出版)の共著があり、離婚に関する相談を多く受ける姉小路法律事務所(京都市中京区)の大川浩介弁護士(45)は「インターネット、特にスマートフォン(高機能携帯電話)の普及で、離婚に関する公的な支援や権利などの情報が入りやすくなり、より上手に離婚したいという人が増えています」と話す。
「離活」は情報を入手するだけではない。例えば、預金通帳や保険、株式といった夫婦の共有財産を把握する。不貞行為の証拠として携帯電話の画面などを撮影しておく。DV(ドメスティックバイオレンス)の証拠に録音やメモ、診断書などを取っておく。
数多くの離婚を見てきた大川弁護士は「離婚は幸せになるためのステップ」と指摘。そのうえで、「離婚の仕方を誤らないためにも『離活』は必要。幸せな人生を手に入れるための活動といえるのです」と話している。
■離婚の6割弱が「子供のいる夫婦」
厚生労働省の平成24年の人口動態調査によると、全国の婚姻数66万8869組に対し、離婚は23万5406組。うち約58%の13万7334万組が子供のいる夫婦の離婚だ。離婚件数そのものは昭和46年に10万組を突破し、平成14年の28万9836組がピークに。その後は緩やかに減少を続けている。女性の離婚年齢は30代が最も多く、全体の約38%を占めている。
参照:産経新聞
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