2012年11月15日木曜日

先生どうする? 「慰謝料200万払って」と言われたら

「慰謝料、200万円支払って!」
 突然、教師が保護者にこう迫られた場合、どう対処すればいいのだろう。

 ある小学校で起きた、6年生の男子児童同士のケンカ。担任のAさん(35)は、片方の男児がちょっかいを出したのがきっかけだと察したが、あえて「両成敗」で決着をつけた。これが騒動の発火点となった。

 その後すぐ、もう片方の男児の保護者から学校側に、「A先生の指導はおかしい。子どもたちの前で謝れ」「A先生は信用できないから、別のB先生に代えろ」などと連日、理不尽な要求が届くようになった。後日、その保護者からAさん宛てに電話があった。「一人で家に来てほしい」。校長に相談したところ、「先生、一人で行って」と、突き放された。

 午後6時に男児の家に行き、延々と11時まで保護者からの抗議は続いた。その中で出てきたのが、冒頭の“慰謝料要求”だった。もちろん承諾はせず、その日は帰った。そうすると次の日、保護者が来校し、「A先生は200万円を支払うと約束した」と激高。Aさんは校長からすぐに呼び出されて「払うと言ったのか!」と詰問され、いくら否定しても信じてもらえなかった。そして保護者は、「払わないのなら裁判を起こす」と“最後通告”をしてきたのである。「もう教師を辞めたい」。そのとき、Aさんはそう思ったという。

 しかし、Aさんには最後の「よりどころ」があった。それがあらかじめ加入していた「TOSS教職員賠償責任保険」だ。法律相談窓口に電話し、担当の弁護士からこうアドバイスを受けた。

「Aさん、大丈夫です。『200万円を支払え』というのは脅迫にあたります。もし万が一裁判になっても勝ちますから」

 この言葉で「精神的に楽になった」というAさんは、改めて保護者と向き合い、裁判に至ることなく解決することができたという。

参照:週刊朝日

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