2012年11月16日金曜日

<法テラス>加害者の謝罪や弁償 被害者への仲介を開始へ

 法務省は16日、刑務所から仮釈放されたり、保護観察付きの執行猶予判決が確定した人など(保護観察対象者)が被害者に対し円滑に謝罪や弁償ができるよう、同省所管の公的法人「日本司法支援センター(法テラス)」が仲介するシステムの運用を年度内にも始めると発表した。

 これまでは、保護観察対象者(加害者)が服役や裁判を終えてから、被害者に謝罪したいと考えたり、弁償できる経済力をつけたりしても、被害者側に確実に接触を図れるシステムがなかった。

 同省は今年3月、全国の保護司約3000人に意識調査を郵送し、約8割に当たる2414人から回答を得たところ「保護観察対象者が被害者に謝罪や弁償を橋渡しできる機関が必要」との項目に約75%が「そう思う」と答えた。同省はこの結果を受け、資力が乏しい人でも弁護士費用を立て替えてもらえる「民事法律扶助」も活用できる法テラスが橋渡し役となる仕組みを考案した。

 このシステムでは、保護観察対象者から保護司を通じて要請を受けた法テラスが、保護観察所を通して被害者側に「謝罪や弁償を受ける意思があるか」を確認。被害者が受け入れた場合、法テラスと契約する弁護士が、被害者と保護観察対象者の間に入って面会謝罪の場を設けたり、損害賠償の示談交渉を行う。

 現在は、保護観察対象者が直接、謝罪や弁償をしたいと思っても、被害者側に拒否されるケースが多く、仲介役に弁護士を依頼しても負担が大きい。今回のシステムでは、全国一律の支援が可能な公的機関が橋渡しすることで、保護観察対象者が円滑に被害者側に接触できるメリットがある。

 同省の担当者は「被害者が本来受けるべき補償が進むだけでなく、保護観察対象者側の立ち直りや再犯防止につながる有意義なシステムと考えている」と話している。

参照:毎日新聞

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