2012年11月18日日曜日

衆院選差し止めへ提訴 「一票の格差」弁護士グループ

 最高裁が「違憲状態」と判断した平成21年の衆院選と同じ区割りで実施される今回の衆院選は憲法違反として、「一票の格差」訴訟に取り組む弁護士グループが16日、国を相手取り、選挙の差し止めなどを求める訴えを東京地裁に起こした。衆参両院選挙をめぐっては、実施後に選挙無効を求める訴えが起こされてきたが、事前の差し止めを求める訴訟は極めて異例。

 原告側は訴状などで「現行の区割りで投票が行われれば、投票価値の平等が害されることは明らか」と主張。衆院選の公示にあたって行われる「内閣の助言と承認」の差し止めを求めている。また、各都道府県に1議席を割り振る「1人別枠方式」を廃止し、人口に比例して議員定数を配分する法律案の提出を内閣に義務づけることも求めた。

 最高裁は23年、最大格差が2・30倍だった21年選挙を「違憲状態」と判断。1人別枠方式を「できるだけ速やかに廃止すべきだ」と求めていた。

 弁護士グループが異例の訴訟に踏み切った背景には最高裁から「違憲状態」と断じられた格差を是正しないまま、選挙になだれ込もうとする国会への憤りがある。

 「三権分立を全く無視する選挙で、絶対に見逃すことはできない」。原告の山口邦明弁護士は提訴後の会見で、最高裁が求める抜本的是正を行わずに解散した国会の対応を批判。「少なくとも1人別枠方式を見直した上で選挙をすべきだ」と指摘した。

 しかし、選挙の差し止めを求める訴訟はほとんど例がないだけに、差し止めの対象や被告をどうするかなど、請求内容については慎重に協議を重ねてきた。

 「選挙の執行とはどの段階を指すのか、というところから話し合った」と三竿径彦(みさお・みちひこ)弁護士は振り返る。

 選挙を「一連のプロセス」と捉えた上で、原告側が着目したのが、その開始段階である公示だ。しかし、公示は天皇の国事行為であることから、「訴訟の対象にするのは難しい」と判断。公示の前提となる「内閣の助言と承認」を差し止め対象とした。

 公示も来月に迫る中、原告の間にも「門前払い的な判決がでないとも限らない」と厳しい見方はある。

 ただ、原告側は早期の司法判断を求めて「仮の差し止め」を求める申し立ても行っており、山口弁護士は「ぜひ最高裁に判断してもらいたい」と話した。

参照:産経新聞

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