2013年1月10日木曜日

<ステマ>英米で進む法規制 複数芸能人の「お勧め」に注意

 「ペニーオークション」と呼ばれるインターネットオークションを使った詐欺事件で、多くの芸能人が金銭を受け取り、自身のブログで使い勝手が良いかのような文章を掲載していたことが明らかになった。消費者に広告と分からない「ステルスマーケティング」(通称ステマ)の一つだった。ステマはなぜ横行するのか。 


芸能人によるステマと疑われる事例は、今も多数見られる。

 <何度かご紹介してる○○。本当にシミが薄くなってきた><最近お気に入りの○○をご紹介~>。ある有名モデルのブログ。多い時期にはほぼ毎日のように化粧品などに関する記述が登場する。同じブログサービス内で検索すると、同一商品を同じ月に20人以上の著名人が紹介。2人は「メーカーからいただいた」とことわっていたが、他は「愛用中」「気になっていた商品」などと書いている。

 芸能人や著名人約1万3000人のブログを掲載する「アメーバブログ」の運営会社サイバーエージェントはペニーオークションの事件を受け昨年末、金品提供の事実を明示しないPR記事が投稿された場合、削除するなどのステマ対策を発表した。現在、疑わしい記事をブラックリスト化して芸能事務所や商品販売元に照会している。広告だと一目で分かる「PRマーク」も作成中で、1月中にもブロガーに掲示を求める。

 同社自身も、企業から仲介料を受け取り、芸能人にブログで商品などを紹介してもらう「マーケティング」を08年から展開している。広報担当者は「芸能事務所側には、やらせで問題化したブログの実例を挙げ、『イメージダウンになる』と伝えて企業との関係を正直に書くよう求めてきた。オークション詐欺はもちろん、ステマにも一切関与していない」と説明する。

 ステマについては昨年1月、人気ランキングサイト「食べログ」で飲食店から謝礼をもらった「やらせ業者」が好意的な口コミを投稿して店の順位を上げていたことが判明した。

 消費者庁は11年10月に示した見解で、口コミサイトや個人ブログについても、広告主が自ら書いたり誰かに書かせたりした内容によっては景品表示法違反(不当表示)に問われる可能性があるとしている。ただし、実際より格段に良いと消費者に誤解させる場合に限られる。ネットビジネスに詳しい伊藤雅浩弁護士は「書き込み内容によってはタレントも対象になる場合もあるが、広告であることを明示しなかったというだけで違法性を問うのは難しい」と話す。

 佐藤佳弘・武蔵野大教授(社会情報学)は「芸能人によるステマは知名度を利用してファンをだます行為。米国などでは法整備が進みつつあり、英国は08年、宣伝と明記しない書き込みを法律で禁じた。日本も追随すべきだ」と指摘する。

 一方、広告倫理に詳しい東洋大の疋田聡(ひきた・さとし)教授は「企業に対してすぐに法規制を考えるより、商品を買わないなど消費者の力で市場から退場させるべきだ」と話す。

 サイバー社は疑わしいブログとして▽同時期に複数の芸能人が似た内容を記述▽「PCはこちら、携帯はこちら」などとリンクの張り方が丁寧▽1人が何度も記事にして写真も同一--を挙げている。これらを参考に、当面は利用者が眼力を磨くしかなさそうだ。

 ◇ことば・ペニーオークション詐欺

 入札のたびに手数料がかかるインターネット競売「ペニーオークション」で、実際には落札できないのに、利用者から入札手数料をだまし取った詐欺罪でサイト運営関係者ら4人が起訴された。約20人の芸能人が謝礼などを受け取って「高額商品を格安で落札できた」などの虚偽の書き込みをしていた。

参照:毎日新聞

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