みずほ銀行の暴力団関係者への融資問題で、13日の衆院財務金融委員会の集中審議に臨んだ佐藤康博頭取に、議員からは「ゆゆしき問題」「言い訳がましい」などと厳しい声が相次いだ。佐藤氏は終始、低姿勢で陳謝と釈明を繰り返したが、参考人招致は、みずほ銀の問題をきっかけに金融界が失った「信頼」の重さも浮かび上がらせた。
審議では、みずほ銀が決めた社内処分への批判が繰り返された。佐藤氏は半年間の無報酬としながらも現職を続投。前頭取の塚本隆史氏も、持ち株会社の会長に留任する。
御法川信英議員(自民)は「(処分は)国民の間ではまだまだ甘いと受け止められている」と指摘。鈴木克昌議員(生活)も「半年無給になっても相当な額が残る」と指弾した。
「辞任する考えはないのか」との佐々木憲昭議員(共産)の質問に、佐藤氏は「今後、反社会的勢力排除に全身全霊で当たるのが使命。ご理解をお願いしたい」と答弁。すると佐々木議員は、「理解できない」とばっさりと切り捨てた。
佐藤氏は「厳しい指摘は承知している」としながらも、辞任はきっぱりと否定。「真摯に反省する」との言葉を繰り返した。
また、問題融資の情報が「担当役員止まりだった」と、金融庁検査に際して誤った説明をしていたことにも質問が集中。「あり得ないこと。金融当局を軽視しているのではないか」と迫った竹内譲議員(公明)に、佐藤氏は「検査への対応が不十分だった。軽視とは考えていない」と答えるのが精いっぱいだった。
審議には、全国銀行協会の国部毅会長や日本クレジット協会の大森一広会長ら業界団体の代表者も出席し、国部会長らは「信頼回復へ業界一丸となって取り組む」と力説した。
みずほ銀の問題では、弁護士らの第三者委員会が、融資が放置された経緯などを調査した。質疑に立った佐藤氏は「提携ローンという特殊な仕組みにより、行内で自行の債権という認識が乏しかった」とする第三者委の認定した事実を繰り返すなど、煮え切らない回答が目立った。
開会直後は神妙な表情で用意された資料に視線を落とすことが多かった佐藤氏だが、次第に周囲を見渡して出席者らを眺める余裕も見せた。委員会が正午過ぎに終わると、取り囲んだ約30人の報道陣を尻目に、足早に黒塗りの社用車に乗り込み、国会を後にした。
参照:産経新聞
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