「一票の格差」が最大で4・77倍になった7月の参院選は法の下の平等を定めた憲法に違反するとして、弁護士グループらが選挙の無効を求めた2件の訴訟の判決が28日、広島高裁岡山支部であった。片野悟好(のりよし)裁判長は「投票価値の不平等は甚だ顕著だ。国会には選挙制度を抜本的に改革する責務があった」と述べて裁判の対象となった岡山選挙区の選挙を違憲・即時無効とする判決を言い渡した。
弁護士グループは、今年7月の参院選をめぐって全47選挙区を対象に選挙無効訴訟を起こしており、その最初の判決となった。14高裁・支部の判決は12月26日までに出そろう。
判決はまず、参院の定数配分の合憲性について検討。格差が4倍を超える選挙区が6、3倍を超える選挙区が岡山を含む11あることを指摘して、「定数配分規定は、違憲の問題が生じる程度の著しい不平等状態に至っている」と述べた。
さらに、07年選挙を巡る09年の最高裁判決が選挙制度の仕組み自体の見直しに言及し抜本改革を求めた点を重視。この判決から約3年9カ月を過ぎても「4増4減」の定数是正にとどまったとし「国会が選挙制度の改革に真摯(しんし)に取り組んだかは疑問だ。是正案を国会に上程すらできなかったことに合理的理由はない」と述べて違憲と結論づけた。
そのうえで、この選挙の効力については、仮に47選挙区すべてが無効になったとしても、10年の選挙で選ばれた議員や比例代表選出議員で参議院の活動は可能と指摘。「投票価値の平等に著しく反する状態が長く続くことに比べ、選挙無効による弊害が大きいとはいえない」とし、即時無効と判断した。
岡山選挙区の選出議員は自民の石井正弘氏。
最大格差が5・00倍となった前回2010年の参院選について最高裁は昨年10月、「違憲状態」とする判断を示していた。
一票の格差を巡っては今月20日、最高裁が昨年12月の衆院選を「違憲状態」とする判決を出している。
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〈一票の格差〉 今年7月の参院選での最大格差は、議員定数1人あたりの有権者数が最少(約24万1千人)の鳥取選挙区と、最多(約114万9千人)の北海道選挙区との間の4・77倍だった。前回2010年は最大5・00倍、その前の07年は4・86倍。昨年12月の衆院選での最大格差は2・43倍で、最高裁は今月20日にこの選挙を「違憲状態」とする判決を出した。
参照:朝日新聞
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