消費増税が目前に迫るが、来年1月1日施行の相続税改正にも注目が集まっている。相続税は現在、5000万円と法定相続人1人当たり1000万円の合計が基礎控除額となっているが、改正後は3000万円と1人につき600万円に引き下げられ、地価の高い大都市圏などで課税対象者が急増する。
いざ相続となった場合、速やかに対処できない例も少なくない。NPO法人「遺言・相続リーガルネットワーク」事務局長で弁護士の長家広明さんは「相続人全員の同意が必要など手続きには手間と時間がかかります。その間は故人の銀行口座などから現金を引き出せないことを知っている人は多くありません。葬儀費用に困る場合も」。
三菱UFJ信託銀行が昨年12月に30代以上の男女を対象に行った調査では、50代から相続に関心があるとするが6割を超える。その一方で相続の具体的な知識があるは60代でも約44%にとどまり、相続を面倒だと思うは全世代で7割超だ。
遺言書は作成が難しく、長家さんは専門家にまず相談してほしいと訴えるが「現金資産を信託銀行などが運用、管理、承継する家族信託は遺言(いごん)代用信託とも呼ばれ、あらかじめ死亡後の受取人や受け取り方が指定できるなど、遺言に代わる機能を持ち、相続の課題解決の第一歩にもなる」。
一定額を信託銀行などに信託する遺言代用信託は三菱UFJ信託銀行「ずっと安心信託」が平成24年3月に登場したのをはじめ、りそな銀行、三井住友信託銀行、三井住友銀行が続いた。元本が保証され、りそな銀を除いて手数料である管理報酬も無料だ。存命中は年金のように受け取り、生活費や医療費としても使える。
いずれも契約数を伸ばす中、三菱UFJ信託銀は最低預入金額を200万円に設定して特色を出している。200万円は葬儀費用の平均的な金額ともいわれる。同信託銀広報室の富永恭史さんは「入り口のハードルを低くという声にお応えしました。将来への安心感からスタートされる方が増えています」と話している。
参照:産経新聞
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